2022年イースター報告
2022年4月26日 火曜日

今年のイースターは北チェコ・ガラスの街ヤブロネツ・ナド・ニソウにほど近い友人の別荘に誘われて行ってきました。4月後半とはいえまだ雪が残っていて少し山を登るとスキーを楽しむ人もいるほどの雪の多い地方です。北チェコにはこのような漆喰と木で作られたロウベンカと呼ばれる建築がよく見られます。絵本に出てきそうな可愛い建物です。

イースターと一言で言っても、ヨーロッパ中でその習慣は様々。特にチェコではイースターはキリスト教が入ってくる以前の土着信仰に起源を持つとされ、クリスマスと並んで宗教的にも大切な行事となっています。チェコのイースターの習慣は一言で言うと、「鞭と卵」。男性は柳の枝で編んだ鞭を手に家々を訪れて練り歩きます。そして女性を見つけてはお尻を鞭で打つという習慣があります。鞭で叩かれた女性は色をつけたりペイントした卵や手製のパン、また子供たちには卵を象ったお菓子などをあげるというそんな流れです。

鞭で女性のお尻を叩くときや、練り歩く時に歌う歌も沢山あります。ちなみに私たちの小さな息子たちが歌った歌の内容なこんな感じです。

「ご馳走だ、ご馳走だ、練り歩くぞ!色を塗った卵をちょうだい!色塗った卵がなければ、せめて白い卵を!あなたの家に鶏がまた卵を運んでやってくるから!」

さあ、第1軒目。ご近所のお宅のベルを鳴らして・・・「出てくるかなぁ・・・。」

優しそうなご婦人が出てきました!息子たちは例のお歌を歌いながら、お尻をぺんぺん。一通り習慣というか、お約束ですので、叩かれる方もお尻をちょっと突き出して・・。ww

そして差し出されたのは、お手製の小さな甘いパン。なんとも可愛いウサギの形のパンです。(ウサギもイースターの豊穣と多産を象徴するアイテムの一つですね。)
お目目がレーズン、ご近所のおばさまの手作りのパン!素敵ですねぇ・・。息子たちのために焼いてくれたんだわと思うと一気に心がほかほかしてきます。

その次のお宅のおばさまも優しそうです!息子たちは美味しいお菓子やパン、卵がもらえると理解すると、だんだん調子が出てきました。笑

お母さんが終われば、娘たちのお尻をぺんぺんぺん。

一個?いや2つ?もっと??とついついたくさん取ろうとするバーボフカ息子。母の制止に「いっぱいとってもいいのよ。」と優しいお姉さんの一声。

小さな息子たちは沢山の戦利品をカゴに入れてとっても嬉しそうです。
とは言っても、この日この村ではあまりイースターで練り歩く人を見かけなかったのも事実。地元の人に聞くと年々参加する人が少なくなっているそうで、「だんだん廃れてきて寂しくなってきたねぇ。」とおっしゃっていました。
昔は(地方の村では今でも)鞭で女性を追い回して思い切りお尻を鞭打ってあざができたり、かなり痛い思いをした女性も少なくないようで、イースターのチェコの習慣が嫌いという女性が半分以上という記事が最近新聞にも載っていました。なかなか特異な習慣ということで敬遠されている側面もあるのかもしれません。またプラハなどの都市部ではもう何十年も前から、このイースター行進は行われることがないそうです。

春の到来を、その年の豊穣をお祝いする素敵なチェコのイースター。私も朝一番でご近所の青年に思わずお尻を叩かれましたが、こんな楽しい伝統&習慣ですからいつまでも続いて行ってほしいものです。