1月7日、東方の三博士の日に毎年恒例でプラハで催される王政復古のための自由と平和のパレードに参加しました。王政復古とは言っても、現在の政治の汚職や腐敗を批判し、オーストリア・ハンガリー帝国の古き良き時代を教訓にするという意味のパレード。ビロード革命を牽引した当時の若い世代『チェコの子供たち』という政治グループが中心になって、誰でも参加できる平和のパレードです。

毎年、吹奏楽団のマーチに乗って景気良く行進します。 チェコの昔から歌われる俗謡やオーストリア・ハンガリー帝国の国歌を演奏します。

パレードはビロード革命の舞台の一つであるヴァーツラフ広場からスタートです。クリスマスに日本のサンタから頂いたカメラで撮影に夢中のバーボフカ息子は、パレードを先導するビロード革命の戦士の前を歩いています。

プラハは冬らしい柔らかな日差しの晴天です。空と旧市庁舎が一段と美しく感じられました。パレードはこの旧市庁舎にある天文時計の前で止まって、オーストリア・ハンガリー帝国の国歌斉唱を行います。

旧市庁舎からプラハ城までの後半ずっと、バーボフカ息子は旗手(助手)を最年少で務めました。ちなみにこの石畳はカレル橋の上です。

プラハ城に続く階段を雛壇として参加者みんなで記念撮影。この記念写真は天皇を冠する日出る国からの代表参加者(私はいつもそのようにいつも紹介されています。)ということで私が撮影させていただきました。:)

プラハ城の正門で声明文を読み上げるとパーレドは一旦終了、みんなで居酒屋に集合して、こちらも毎年恒例、フェルディナント・ドブロチヴィー賞の発表があります。

フェルディナント・ドブロチヴィーは善良帝と称されるオーストリア皇帝で、チェコの最後の王(チェコの王としてはフェルディナント5世)のこと。フェルディナント・ドブロチヴィー賞とは、この善良で偉大な王の良政を偲び、チェコの国民にとってそのような値があると思われる著名人に送られる賞です。

賞の発表を読み上げるビロード革命の戦士、プラツァーク氏。

受賞されたのはボヘミア有数の大貴族のシュヴァルツェンベルク侯の現家長、カレル・シュヴァルツェンべルク侯。ウィキペディアはこちら。

チェコの外務大臣や第一副首相を歴任した人物で、ビロード革命後初の大統領となったヴァーツラフ・ハヴェルを支えた側近でもあります。大変ご高齢で車椅子に乗って登場されましたが、その威風は矍鑠たるものでした。いつまでもお元気でいらしてほしいものです。

この後はみんなで生バンド演奏のダンスパーティー。踊りが盛り上がってきた頃、隣で主人が「1989年以前、ビロード革命前はコンサートやダンスパーティーを催しただけで、警察に勾留されたり逮捕されたりしたんだ。こんなおかしな話理解できるかい?」と私に呟きました。参加した年配の方たちもきっとそんな時代を乗り越えてきた人たちばかり。歌ったり踊ったり、好きなことを大声で言えるこの自由さえ、彼らにとっては命をかけて勝ち取ったものなのだということを思うと、この楽しい時間がより一層とても貴重なものに感じられました。